夏の高校野球、戦っていたのは野球部だけではありません。応援席は熱中症と戦っています。戦いは試合数日前にWBGT(暑さ指数)や気温の予報値を確認することから始まります。本校では、予想されるWBGTが基準値をこえるようであれば、一般生徒の参加は中止し、応援団・吹奏楽部・チアリーダーのみの応援にします。暑さがさらに厳しくなれば、応援団・吹奏楽部・チアリーダーの応援も中止します。しかしながら、基準に照らして単純に決定することは難しいです。「野球部があれほどがんばっているのに、一般生徒の応援をなくしてよいのか」という意見をいただきますし、応援に行きたい生徒もいます。丁寧に説明してご理解いただくほかないのですが、このあたりの調整は本当に大変です。
試合当日は、出発時の体調確認から始まり、スタンド入りは冷房の効いたバスでぎりぎりまで待機したあと速やかに行います。試合開始時には両校生徒のエール交換がありますが、このとき生徒は脱帽して立ったままなので早くも不安になります。熱中症防止対策としては、生徒個々への指示の他に、座席間隔を空けたりミストをかけたり、水分・塩分・氷等の補給を頻繁にさせたりするなどの対策を行っています。それでも炎天下で長時間応援することは困難です。自校の攻撃が終わるとスタンド裏の日陰に移動させ、次の回の攻撃が始まるまで休憩させます。少しでも熱中症様の症状がある生徒は、日陰やバスで休ませます。引率教員はこのような指導をしているので試合を見ている余裕はありません。それでも熱中症様の生徒は出てしまいます。来年度はさらに対策を工夫しなければなりません。報道は「災害級の猛暑に注意」と注意喚起する一方で、高校野球で盛り上がっています。猛暑の中の野球、野球応援の在り方についてさらに考えていかなければなりません。